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松本・中町で陶芸家・田中一光さん個展 心の底流から生まれた新シリーズも

「新たなスタートとして、これからも作り続けていきたい」と田中さん

「新たなスタートとして、これからも作り続けていきたい」と田中さん

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 陶芸家・田中一光さんの個展「青の主題による変奏曲 第10変奏」が現在、松本・中町通りのギャラリー「GRAIN NOTE(グレインノート)」(松本市中央3、TEL 0263-32-8850)で開催されている。

「通奏低音」ボウルシリーズ

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 カップや皿など約400点を展示する。濃紺や水色など多彩な青色を中心に、アイボリーやホワイトも含めた展開。組み合わせてツートンカラーにしたカップや、ふちの色を変えた皿などもある。

 土器のようなオブジェは、バロック音楽の演奏で伴奏部となる低音旋律を指す「通奏低音」ボウルと名付けた。転じて、「常に底流としてある考え」という意味を持つ言葉で、田中さんは「食器や花器というジャンルは無視して、心の底流にある作りたい形を引っ張り出した」と話す。形は抹茶わんのようにも見え、側面にはランダムに描いた線や、樹皮のようにごつごつとしたパーツが付いている。

 松本市生まれの田中さんは、大学卒業後に埼玉で3年ほど修業を積み、帰郷して独立。2010(平成22)年4月に「田中一光製陶所」を設立した。「第10変奏」は当初、2020年5月に開催を予定していたが、新型コロナの影響で延期。以降、グループ展には出展していたが、個展は開けずにいたという。「活動が制限されるだけではなく、心の奥底に苦しさがあった。ただ、その苦しさと向き合えたことで、ものづくりの原動力を捉え直すことができた」と振り返る。

 コロナ禍では作陶に専念する傍ら、息子と一緒に粘土遊びをしたり、出かけた公園で樹木の幹に心を引かれたりするうちに、陶芸を始めた頃のわくわく感を思い返したという。そこから生まれた「通奏低音」シリーズは、「種みたいな感じ。今後も続けていきたい」とも。

 前回の「第9変奏」から5年ぶりとなる個展。会期中、常時在廊している田中さんとの再会を喜ぶ来場者も多いという。「続けてきたから見えてきたものもある。ここまで続けられたこと、ここでまた開催できることに感謝したい」と笑顔を見せる。

 作品は全て販売する。カップ=2,700円~、皿=2,800円~、マグカップ=3,300円~など。営業時間は10時~18時。7月7日まで。

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