松本市のギャラリーカフェ「Gargas(ガルガ)」(松本市深志3、TEL 0263-39-5556)で現在、企画展「ごっこ社の縁起物展」が開催されている。
「ごっこ社」は「郷土玩具を扱う夢の会社(グループ)」。代表を務める相澤和典さん、陶芸家の金井三和さん、「すみれ洋裁店」(諏訪郡下諏訪町)を営む小口緑子さん、イラストレーターの野村剛さんの4人が2011年に設立した。
ギャラリー内には、縁起物の熊手や、同グループの4人や松本市内外で活動する作家が制作した郷土玩具を展示する。「招福熊手」は、小・中・特大の3種類を用意。中サイズには、おたふくや千両箱、打ち出の小槌(こづち)、本物の稲穂など、さまざまな縁起物が取り付けてある。おたふくは相澤さん、千両箱は小口さんがそれぞれ制作した。「皆で作り合ったものをまとめてある。それぞれに味があって面白い」と相澤さん。特大サイズは本物のお札や郷土玩具までもふんだんに付けた「超豪華版」。「これでもかというくらい福を詰め込んだ。すしの盛り合わせみたい(笑)」
天を向く色とりどりのコイが口に魚形の旗をくわえている「こここい」は、版画家の田嶋健さんの作品。人間に恋をしたコイが題材の民話を自作し、それを形にしたものだという。津金多朗さんは山脈の形をしたキャンドルを出品。連なる山々は諏訪地方の自然に思いをはせて制作し、キャンドルにかかっている砂は、実際に諏訪で採取したものを使用している。
木工作家で同店オーナーの熊谷俊行さんは金太郎あめをモチーフにした「福かえる」を制作。「福助やおたふくの『福』でもあるが、福島原発事故や東日本大震災、長野県北部地震で避難生活を余儀なくされた方たちが、一日でも早く自分たちの街に帰れるように願いを込めて作った。本当の『福』が返るように」と熊谷さんは話す。
昨年10月に同店から縁起物の展示を依頼されたことが開催のきっかけになった。「ずっとやってみたいと思っていたことだったので、すぐに引き受けた。『縁起物』と意識して見る機会はあまりないような気がするので、この機会にじっくり見てもらえればと思った」と相澤さん。「手作りの温かみのある世界を知ってもらえれば」とも。
作品は全て販売する。熊手=3,500円~、キャンドル=980円、福かえる=800円など。営業時間は11時~20時。火曜と第1・第3月曜定休。入場無料。1月27日まで。