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松本のギャラリーで「軽い漆塗の木の器展」-軽くし普段使い呼びかける

軽さが特徴的な川勝英十津さんの漆器。シンプルで味のある作品が並ぶ。

軽さが特徴的な川勝英十津さんの漆器。シンプルで味のある作品が並ぶ。

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 松本市のギャラリー「ギャルリ灰月(かいげつ)」(松本市中央2、TEL 0263-38-0022)で現在、木工漆芸家・川勝英十津(かわかつしげとつ)さん(68)の作品展「軽い漆塗の木の器展」が開催されている。

オープニングパーティーでは、川勝さんの作品にさまざまな料理を盛り付けて振る舞った。

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 同展では、皿や器、湯のみ、盆など300点以上の漆器作品を展示する。なじみのある朱色や黒をはじめ、白や錫(すず)を含んだ銀色の漆を塗ったものも用意する。ススキや野草を使った生け花が施された作品もあり、会場の雰囲気を作り出している。

 川勝さんの作品は軽さが大きな特徴。日本国内でとれる木材では最も軽いといわれるキリ材を使用し、各作品の大きさからは想像できないような軽さを出している。「漆器は、正月など年に数回しか使われないことが多い。重いと余計に使わなくなってしまうので、普段使いできるように軽くしている」と川勝さん。川勝さんが器を作り、布張りや漆塗の作業は息子が担当しているという。

 漆は所々下地の色がかすれて見えるような塗り方。作品によって布目の粗さが異なる布を張るため、かすれ方もさまざま。「キリ材を削ったときに出る木くずやほこりを払うと、自然とこの『かすれ』が出る。自分の作品は、すべて『自然』にできた形」(川勝さん)。

 展示初日は、川勝さんの作品使用体験を兼ねたオープニングパーティーを開催。盛り皿、取り皿、しょうゆ差しに作品を使い、料理を振る舞った。来場者は取り皿やしょうゆ差しを手に取ると、口々に「軽いね」と驚きながら料理に舌鼓を打っていた。中には、川勝さんや一緒に来場していた川勝さんの息子に、漆器の扱い方や制作過程などを質問する人の姿も。展示にあたり、同店オーナーの滝澤充恵さんが「食事例みたいなものを出してみては」と相談したところ、川勝さんは「せっかくなので、実際に作品を使ってもらえるようにしよう」と提案し、今回のパーティーが実現した。

 「漆器はとても丈夫で使いやすいもの。使わないと分からないので、展示作品はどんどん触ってほしい」と川勝さん。「ひびなどが入った場合でも直せるものだが、今は直せるところが少ないと思う。壊れても自分のところに持ってきてくれれば直すので、怖がらずに使ってほしい」とも。

 作品は販売も行う。皿=4,000円~、器=6,500円~、盆=1万5,000円~、ふた付き片口=3万2,000円~など。営業時間は11時~18時。水曜定休。10月24日まで。

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