安曇野のギャラリーカフェでリトグラフ展-色鉛筆や水彩タッチの作風で

優しい雰囲気の芳野さんの作品が並ぶ。

優しい雰囲気の芳野さんの作品が並ぶ。

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 安曇野のギャラリーカフェ「BANANA MOON(バナナムーン)」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-8838)で現在、イラストレーターで版画家の芳野さんによる作品展「芳野 リトグラフ展」が開催されている。

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 芳野さんは東京在住。セツ・モードセミナー(東京都新宿区)を卒業した後、渡仏しパリで3年間リトグラフを学んだ。2004年よりイラストレーターとして活動を開始、雑誌や書籍などの挿絵を描いたり、オリジナルテキスタイルブランド「loukoum(ルクム)」のデザインを手掛けたりしている。その傍ら作り続けているリトグラフの作品も、映画「人のセックスを笑うな」内で使用されている。同店での個展は初めて。

 リトグラフは、石または金属の板に油性の描画材で絵を描き、板を水で湿らせた後に油性インクをのせることで、描いた部分にのみインクが付着して刷り上げることができる、水と油の反発作用を利用した版画の技法。芳野さんの作品は版画独特のベタの質感に加え、色鉛筆や水彩絵の具で描いたようなタッチが特徴。鉛筆や水彩のタッチが出るリトグラフ用の画材を用いることで手描き風に仕上げている。

 花や少女、鳥などのモチーフが多く、柔らかい雰囲気の作品23点を展示する。同店をイメージして制作した「banana moon」は、バナナの形をした月が出る夜に建物の上で大きな青い鳥が羽を休めながらさえずっている風景を描いたもの。「『バナナムーン』で展示する意味を持たせたくて作った」と芳野さん。過去に制作した作品をまとめたファイルや雑貨類も展示する。

 週1回のペースで版画工房に通っているため多くは作れないという。1回につき1色しか刷れないため時間もかかる。最大で4色を重ねているため、一つの作品が完成するのに4週間以上かかることも。「計算通りにいかず失敗することもあるので、月に1作品もできないことが多い」。

 同店での開催は2年ほど前、友人に連れられて立ち寄ったのがきっかけ。「すてきなこの空間でいつか展示ができればと思っていた」と話す。「物語の途中のような、『想像するすき間』を残すように心がけている。見て、ホッとするような楽しさと優しさのある作品を作っていきたい」と芳野さん。「いつかリトグラフで絵本を作りたい」と夢をふくらませる。

 作品は販売も行う。リトグラフ=1万500円~(作品ファイルからのオーダー=4,200円~)、ポストカード=157円~、手ぬぐい=1,260円など。営業時間は9時30分~18時。入館料は500円(1ドリンク付)。水曜定休。9月7日まで。

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