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松本の伝統竹細工「みすず細工」、技術継承目指し活動拠点を開設

竹の特徴や扱い方について話しながら作業を進める

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 松本地域の伝統竹細工・みすず細工の再興を目指す「松本みすず細工復活プロジェクト」(松本市城西1)が5月22日、こまくさ道路沿いに活動拠点を開設した。

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 「松本みすず細工」は「すず竹」と呼ばれる竹を使って作る伝統的な竹細工。明治・大正を最盛期に、戦後までは「松本のブランド」として海外にも輸出され全国的にも知られていたという。しかし、2009年に「最後のみすず細工職人」が亡くなり、技術が途絶えてしまう危機に。2011年 4月から1年間、市の緊急雇用対策事業として技術の掘り起こしや職人の育成に取り組み、事業終了後も活動を続けてきた。

 活動拠点となる作業所は2階建ての民家を改装し、4人でシェア。現在、毎週水曜を作業日として、見学できるようにしている。「以前、みすず細工に携わっていて『何か手伝いたい』と訪ねてきてくれる人もいれば、新聞やテレビで知って見にきた後、また手伝いに来てくれる人もいる」と代表の三沢枝美子さん。「作る人だけではなく、材料になる竹を取る人、山を守る人…多くの人の手によって築いてきたものを文化として残していきたい。それぞれの活動が文化を守ることにつながっている」と話す。

 以前、こうりの縁竹や取手を作っていた飯田さんはメンバーの熱意をたたえ、「みすず細工の伝統が途絶えたらもったいない。なぜ自分たちがそうしなかったのだろうと思った」と話す。飯田さんは途中で竹と離れた仕事に就いたため、道具などはほとんど自宅に残っていなかったが、「それでも何かできることがあれば」と足を運ぶ。

 現在は、材料の確保が難しく、受注生産や販売の対応はまだできないという。「ものを作って市場に出すことが『復活』なのかもしれない。それとは少し違う方法かもしれないが、出来上がるものだけではなく、その背景にあるもの、思いや心を感じ取れる場にしていきたい」と三沢さん。「これまで地域で育んできたものを伝えることで、また地域で育んでいければ」とも。

 作業は毎週水曜10時~17時に行う。見学は無料だが予約が必要。予約はホームページのお問い合わせフォームから受け付ける。

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